ジェロントロジストを求めて各分野の先駆者に独自の視点でインタビュー

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更新日 2015-08-30 | 作成日 2008-06-12

研究探訪 VOL.1

ジェロントロジストを求め各分野の先駆者に、室長が独自の視点でインタビュー。
第1回目は嶋 佐知子さん

心・技・体の巧みなバランスで輝く人
嶋 佐知子さん

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インテリアデザイナーの先駆者として活躍

嶋さんは、私にとってはスターであり、今でもスターであるという気持ちに変わりはありません。ワシントン大学を出てヨーロッパの国々を回り、インテリアの造詣を深めて、日本にまだインテリアという言葉がない時代から、インテリアデザイナーとして活躍されてきました。現場での感覚を重んじ、たとえば、「お父さんが昼寝をしながら」「お母さんが料理を作りながら」コミュニケーションを深める“ながら空間”という日本人の暮らしに適した住空間を考え出したりしています。
また、お母さんを11年間介護したことから、『高齢者五感研究会』を立ち上げ、高齢者の施設に関わるさまざまなお仕事に取り組んでこられました。日本でのインテリアデザイン、インテリアコーディネーターの世界を切り開き、インテリアを通して社会への情報発信を続けてきました。スターとしての存在価値を自ら創り続けている人、それが嶋さんなんですね。

愛犬とともに元気に生きる姿を人々に見てもらう

最近ではペット共生型のUR住宅(旧公団住宅)が出てきましたが、これにも嶋さんの提案が関わっています。嶋さんは現在、愛犬のチョコちゃんとの二人(?)暮らし。嶋さんは歩行があまり自由ではありませんが、チョコちゃんも下半身不随で犬用の車椅子を使っています。そこで、外で遊ぶ子どもたちを見守るボランティア(学童ボランティア)に参加し、子どもたちにチョコちゃんのVOL1f.jpg一生懸命に走っている姿を見てもらっています。「車椅子で走るチョコちゃんを見て、子どもたちの勇気づけになれば」との考えからです。
嶋さんは昔から、回りの人たちとお互いが支えあって生きていく、共に生きていくことの大切さを強調されていました。子どもたちを元気付ける、嶋さんも子どもたちから元気をもらう。嶋さんとチョコちゃんが共同で、お互いが支え合う場や空間を積極的に創り出し、高齢者の生きざまのお手本を示しているといえるのではないでしょうか。

心・技・体のバランスをとるジェロントロジスト

日本は超高齢化社会に入りましたが、いまだに高齢者の印象はネガティブに捉えられがちです。元気がありません。その点、嶋さんは颯爽としています。なぜでしょうか? 私は嶋さんを見て、この方は「心・技・体」の巧みなバランサーだと思いました。心とは気持ち、技は仕事、体は健康・容貌です。この3つは年齢によって重みを変えていきますが、そのバランスを上手にとりながら人生を歩んでこられた結果、嶋さんのようなジェロントロジストが生まれたのだと確信しています。
嶋さんはインテリア・建築の専門以外でも、VOL1d.jpgその考えを率直に発言しています。ふつうなら物議を起こすようなケースでも、嶋さんの意見だと不思議に収まります。明治の女性のように「凛」として気配があるからでしょう。人生を経て、ますます輝きが増してきているように思います。

(写真:谷口とものり

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嶋 佐知子
住環境デザイナー





1972年 ワシントン大学建築学部環境デザイン科 TΣΔ名誉学生として卒業、TRA建築事務所勤務。その後5ヶ月間北欧・ヨーロッパ・アジアを視察して'73年に帰国。(株)コスガ、菊竹清訓建築事務所を経て独立し、AIF企画設計を設立。
1984年 嶋住環境設計株式会社を設立、現在に至る。

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